ホルムズ開放でも日本は全く安心できない理由

こんにちは、中西です。

 

アメリカとイランの戦闘終結の合意が行われましたが、これは戦争が完全に終わったわけではなく、

 

ここから60日間の交渉を経て、最終的な平和条約のような形になる段取りとなっています。

 

したがって、戦争自体は最悪の状況から前に進んだわけですが、この戦争の状況とホルムズ海峡の封鎖問題が解決に向かうかどうかは別問題です。

 
 

そして我々日本国民にとって重要なのは、言うまでもなくホルムズ海峡の封鎖が終わって完全解放され、船舶が戦争前のように通れるようになることです。

 

ところが、この日本国民にとって一番重要なホルムズ海峡の問題が、非常に怪しくなってきています。

 
 

そもそも戦争自体も終わったわけではなく、今回の合意の調印式の真っ最中に、イスラエルが昨夜レバノンを攻撃しているような状況です。

 

さらに、イランは核放棄をする気はない可能性が高く、一方でトランプ大統領は、イランが核兵器を放棄しなければ再び攻撃するという、まるで振り出しに戻るかのような発言もしています。

 

個人的には、トランプのこの強気発言はブラフで、トランプは本音では戦争をやめて、秋の中間選挙に有利になるように国民からの好感度を少しでも上げたい思惑があるのではないかと見ています。

 

何より、アメリカの戦略備蓄が残り3週間から4週間という非常に危機的な状況になっているので、アメリカ側から安易にイランへ再び攻撃をする可能性は低いのではないかと勝手に思っています。

 
 

ただ、我々日本国民にとってより重要なのは、繰り返しますがホルムズ海峡が元に戻ることです。

 

ところが、元に戻るには、単にアメリカとイランが海峡の封鎖を解いて開放するだけでは足りないのです。

 

なぜかというと、機雷を除去しなければならないという大問題が残っているからです。

 
 

▼ホルムズ海峡「30日以内の開放」不透明 機雷撤去に数カ月か 海運会社は航行再開に慎重(産経新聞)

https://news.yahoo.co.jp/articles/9adc2f766c927f9288af37708f3d664fc9345376

 
 

記事から引用しますと、

 

『ホルムズ海峡の開放における最大の障害はイランが敷設した機雷だ。

 

除去作業はイランが行う見込みだが、海峡に散らばった機雷の場所をイラン自身が正確に把握できていない可能性もある。

 

英BBC放送は海運関係者の話として、機雷除去には30日から6カ月かかる可能性があると報じた。

 

ペルシャ湾内には一連の戦闘の影響で数百隻の石油タンカーや貨物船が滞留しているとされるが、

 

海運会社や石油会社、保険会社などは航行再開には慎重な姿勢を示す。

 

米調査会社ユーラシア・グループは再開の条件として、「海峡の主要航路から機雷が完全に除去されたという確証が必要だ」と指摘した。』

 
 

改めて機雷について簡単におさらいすると、海の中の地雷のようなものです。

 

イランによってこの機雷がばらまかれていることで、ホルムズ海峡の海上を船舶が安全に通れなくなっているのです。

 

地雷のようなものですから、敷設されている海上を通ってしまうと、地雷のように自動的に爆発してしまう可能性があるのです。

 

また、そういうリスクがある場所を船舶が通るとなると、船舶が加入している保険があるのですが、この保険の金額が爆上がりしてしまうわけです。

 
 

保険の性質として当たり前ですが、リスクの低いところを通る船なら保険料は安くなります。

 

リスクが高くなればなるほど、保険会社はリスクを負うことになるので、保険料を大きく値上げせざるを得なくなるのです。

 

値上げするだけならまだいい方で、そもそも保険をかけることができなくなります。

 

保険会社の立場から考えれば、当然と言えるわけですね。

 

タンカーのような大型船が機雷で爆破されてしまうと、保険会社がその莫大な費用を肩代わりして払わなければいけません。

 

そのため、そもそも保険会社はそんな危ない海上を、保険をかけた状態で通そうとしないわけです。

 

タンカーなどの船舶が運行するときには、必ず保険をかけないといけないことが法律で定められています。

 

そのため、この機雷が完全に除去されて、ホルムズ海峡の海上を通ることが安全だと確定させることができるまで、保険会社は保険をかけさせてくれない可能性が高いのです。

 

仮に保険をかけられたとしても、保険会社にとってリスクがバカ高すぎるので、とんでもない保険料を請求される形になります。

 

したがって、単にホルムズ海峡が完全に開放されるだけでは、この問題の解決にはなっておらず、

 

イランが敷設した機雷をしっかりと除去する必要があるわけです。

 
 

ところが、上記の引用した部分にもある通り、イラン自身が機雷をどこに敷設したか把握していない可能性もあるようです(`ロ´;)

 

仮に機雷の場所を全て正確に把握していて、それを除去する作業をするだけだったとしても、

 

その全てを取り除くには6ヶ月かかると上記で海運関係者が語っています。

 

この6ヶ月という期間は、以前このメルマガでも紹介した、米国防総省がトランプに語った機雷除去の期間とも一致しています。

 

要は、機雷をしっかり除去するのに、6ヶ月の期間を見ておかないといけないということです。

 

引用した最後の部分にもある通り、

 

「機雷が完全に除去されたという確証」

 

がなければ、保険会社はOKを出さないため、ホルムズ海峡が開放されていても船が通ることができません。

 

そして、機雷が完全に除去された確証まで得られるには、おそらく短くても数ヶ月、普通に進んで6ヶ月はかかると考えておいた方が良さそうです。

 
 

ということは、我々日本国民にとっては、今回の石油危機の最大の問題はほとんど何も解決していないに等しい状況ということになります。

 
 

ふわっとテレビなどのマスコミだけを見ている人は、「戦争がもう完全に終わった!ヽ(´∀`*)ノ」と勘違いしていたり、60日間の交渉期間があることを知らなかったりすると思います。

 

また、レバノンへの攻撃を止める気がないイスラエルの状況によっては、いつ60日間の交渉中に交渉が決裂してもおかしくないリスクがあることを知らない人も多いでしょう。

 

そうなると、「これでもう戦争が終わった!万歳!」と喜んでいる国民が多くいる裏腹で、

 

日本にとって最大の問題であるホルムズ海峡は全く油断できない状況にもかかわらず、

 

アメリカもイランも一旦は封鎖を解いて開放するので、そこだけに注目がいく。

 

その結果、ほとんどの国民が、石油は無事入ってくると勘違いする可能性が高いのではないかと思っています。

 

実際は、この機雷の除去の問題が解決しない限り、日本国民にとって危機的状況は変わっていないのです。

 
 

ということで、戦闘終結の”暫定”合意の覚書は交わされ、株価を見ても和平ムードが漂ってますが、

 

この状況を一定以上調べて理解している人たちは、専門家も一般人も、誰もまだ安心していません。

 

マスコミをふわっと見ている人たち(世の中の大半)は、安心しきってる様子です。

 

しかし実際は我々にとって予断を許さない状況である点は、ほとんど変わっていないので、

 

機雷が完全に除去されて、保険会社もOKを出し、戦争前の状況まで完全に日本の船舶がホルムズ海峡を行き来できることが確認できるまでは、

 

個々の備蓄も含めて、当面油断してはいけない状況と言えます。