代替調達の結果がヤバい(5月貿易統計)

こんにちは、中西です。

 

イランとアメリカによる実務的な協議が、スイスで始まったようです。

 

主に、戦闘が続いているレバノンでの戦闘終結などについて話し合われることになっています。

 

しかしご存じの通り、今回のイランとアメリカの戦闘終結に向けた合意の真っ最中に、イスラエルがレバノンに攻撃してしまい、

 

イランは再びホルムズ海峡を封鎖してしまいました。

 

何度も見てきた光景で、結局、状況はほとんど何も変わっていないように見えます。

 

トランプ大統領は秋の中間選挙と、何よりアメリカ国内の石油備蓄が残り3週間ぐらいに迫っていて危機的な状況なので、戦争を早く終わらせたいわけですが、

 

イスラエルが戦争を終わらせてくれないという状況になっています。

 

しかも今回のスイスでの両国の協議も、イランの外務省報道官によると「1日限り」のものになるようです。

 
 

結局、戦争が終わって平和が元に戻ったような和平ムードが数日だけ漂いましたが、実質的に状況は元に戻っています。

 
 

我々日本国民にとっては、ホルムズ海峡が封鎖された状況は、本当に危険な状況だと認識しなければなりません。

 
 

ただでさえ海の封鎖で危機が起こっているにもかかわらず、厄介なのは日本政府が事態の深刻さを隠蔽しまくっていることです。

 

これは今回の石油危機が発生してからずっとそうなっているという話を、具体的な数字をもとにこのメルマガではお伝えしてきました。

 

特に大きな問題だったのは、備蓄日数について、最初から「石油が250日分ある」と発表してきたことです。

 

今でもその見解を政府は変えていませんが、実態はその半分以下だったことが明らかになっています。

 
 

その上で政府は、代替調達がどんどん進んでいるので安心だという発表を何度もしてきました。

 

ところが、4月、5月の輸入の結果が発表されているのですが、実態は政府が言っていたような状況とは全く違っていました。

 
 

例えば、ナフサについては、政府は4月は中東以外からの輸入が通常の45万klの2倍である90万klになったと大々的に言っていました。

 

しかし実態は70万klしかなく、2割以上も少なかったわけです。

 

5月も「原油の代替調達が進んで、前年の6割の代替調達の見込み!残りは備蓄で補う!」という形で発表していました。

 

しかし、代替調達は6割どころか、実際は4割しか入ってきていませんでした。

 
 

その代替調達先の筆頭が、政府がどや顔で大量に輸入できる目処がついたと語っていたアメリカだったわけです。

 

ところが、アメリカからの原油は複数の観点で問題だらけでした。

 

そもそも油の質の問題や、タンカーの台数の問題も超絶に大きな問題です。

 

しかし、何より大きな問題は、アメリカ自体の原油備蓄が4月以降、すさまじい勢いで激減していっていたことでした。

 

最近では残り3週間程度まで落ち込んでいて、私の計算では17日まで落ち込んでいました。

 

具体的には残り3億5000万バレルです(アメリカの1日の原油消費量は約2000万バレル)。

 

産油国ではあっても、備蓄をどんどん使わざるを得ないほど足りていなかったわけです。

 
 

そしてトランプ自身が、今回の戦闘終結の合意の時に自ら告白したのは、

 

「アメリカの原油備蓄は残り約4週間にまで下がっていた」

 

ということでした。

 

日本政府・高市総理より正直ともいえますが、私はこの「約4週間」という数字は、トランプが2週間分ぐらい「盛っている」と考えています。(残り3億5000万バレルがアメリカの1ヶ月分なわけがないので)

 

しかし、いずれにせよ残り数週間から1カ月以内まで、アメリカの備蓄は激減していました。

 

今回、トランプが戦争を終わらせることを急いだ最大の理由がこれです。

 

これは逆に言いますと、アメリカ自身がそこまで原油不足の危機に陥っていたわけですから、他の国に輸出する余裕があるはずがないということを意味します。

 
 

したがって、日本政府が代替調達がどんどん進んでいるという発表は非常に疑わしいものです。

 

7月も代替調達が100%などと言っていましたが、見込みの話です。

 

何よりそのメインがアメリカということであれば、全く信用できない可能性が高いのです。

 
 

ここからが今回の本題なのですが、私は6月17日に財務省が発表した5月の貿易統計の速報を確認しました。

 

こちらの5月分貿易統計の中には、日本が輸入する国ごとの商品の量が記入されています。

 

アメリカを見ると、アメリカからの原油の輸入量は5月は57万6000klだったことが分かります。

 

こんなPDFを確認してる国民はたぶん10万人に1人もいないでしょうけど。

 
 

▼令和8年 5月分貿易統計(速報)PDF(アメリカは13ページ)

 
 

このアメリカからの原油の輸入分、57万6000klというのは、バレル単位に直すと1kl=約6.3バレルですから

 

57万6000kl×6.3バレル=約362万バレルになります。

 

この約362万バレルというのが、アメリカから日本に5月に持ってきた原油の総量です。

 

もうこのメルマガの読者さんならピンと来た方も多いと思いますが、約362万バレルというのは、日本の石油消費量の1日分ちょっとしかありません。

 

IEA(国際エネルギー機関)の基準で言うと、日本の1日の石油消費量は約320万バレルほどです。

 

この約362万バレルを1日の消費量320万バレルで割ると、1.13倍なので1日の1.13倍=27時間になります。

 

つまり政府は、アメリカからの代替調達が進んで、5月の代替調達は前年の6割までいったと大々的に発表していたにもかかわらず、

 

その最大の代替調達先であるアメリカからの原油の輸入は、わずか1日と3時間分ぐらいしか入ってきていなかったのです。

 

27時間テレビが始まって、終わる頃には消えてる量です。嘘ついて消えるのはフジテレビだけにしてほしいものです(-_-;)

 
 

この数字を見れば、政府がいかに大本営発表をしていたか分かります。

 

何より、アメリカが日本にまともに原油を輸出できる状況になっていないことも分かるのです。

 
 

この状況で、再びホルムズ海峡が封鎖されてしまった。

 
 

当然、今のホルムズ海峡の再封鎖が続いた場合は、アメリカも日本も引き続き備蓄を使うしかありません。

 

しかし、上記の通りアメリカは危機的状況ですので、日本に輸出を増やすことはできない。

 

ところが日本政府はアメリカから代替調達が進んで安心!みたいな発表をしている。

 

マスコミ(とくにテレビ)は代替調達が進んだように国民に思わせる政府発表は報じますが、

 

結果的に4月・5月がどれだけの輸入で、どれだけ政府発表が正しかったかは検証してますかね。

 

テレビがしっかり報じないと国民は危機を認識できませんからね。

 
 

この状況は、一言で言うと、詰んでいるような状況です。

 

私もアメリカからの代替調達が、まさか1日分しか入ってきていないとは思わなかったのですが、想像以上にやばいことになっておりました。

 

アメリカからの代替調達は、油の質の面でも、タンカーの台数の面でも、

 

何よりアメリカ自身の備蓄が全くなくなってきている状況の観点からも、全然当てにならない。

 

しかし、その事実は国民にはほとんど伝わっていないはずです。

 

とにかく、日本の石油危機、ナフサ不足の危機は、以前からまるで何も良くなっていない状況です。

 

戦争が終わった!と安心するのはまだ早すぎるので、

 

政府やマスコミの大本営発表に流されて、備蓄などくれぐれも油断しないようにしておいて欲しいと思います。