こんにちは、中西です。
トランプ大統領が、フランスのベルサイユ宮殿でイランとの戦闘終結の覚書に署名しました。
イランのペゼシュキアン大統領も署名したようです。
もともとスイスで対面の調印式が行われる予定でしたが、そちらの開催は不透明な状況。
個人的に一番気になったのは、トランプ大統領がアメリカ国内の原油の備蓄日数が約4週間にまで迫っていたことを認めたことです。
今回の戦闘終結の合意が急展開だったのは、アメリカ国内の原油の備蓄が急激に減って限界点に達していたことが本音だった可能性が高そうです。
ただ、厳密に言いますと、アメリカの石油の備蓄日数の残りは約4週間も残っておらず、トランプ大統領は盛っている可能性が極めて高いです。
これは少し前にも本メルマガで書きましたが、アメリカの原油の残りの量は3億5000万バレル弱にまで減っていました。
アメリカの1日の原油消費量は約2000万バレルですので、割り算すると17日分ほどしか残っていないのです。
私はその推移のグラフも確認しましたが、4月以降、アメリカの石油の備蓄は急激に減少していて、枯渇寸前まで来ていました。
残り17日というのは、産油国であったとしても非常に危険な状況です。
何より「この数ヶ月急激に減り続けていた」ということは、備蓄を使わざるを得ない状況になっていたということになります。
したがって、このまま行けばアメリカ国内は、トランプが主張する約4週間ではなく、実際は2週間ちょっとで大変な事態になっていた可能性が高いです。
いずれにせよ、トランプ大統領はその危機を認識していたため、戦争を終わらせることを急いだというのが本当のところでしょう。
当然、そんな状況のアメリカがこれまで通り他国に輸出するはずがなく、
日本政府が大々的に主張していた「7月の代替調達が100%」というのも、非常に怪しくなる可能性が濃厚です。
というのも、最近5月の原油の代替調達の割合が発表されたのですが、
政府はこれまで「5月は6割から7割の代替調達が見込めた!」と大々的に発表していたにもかかわらず、その実態はわずか4割しかなかったのです。
政府の発表より2割も少なかったのが実態だったことになります。
予想通り、相変わらず政府は状況の深刻さについて嘘をつき、国民に隠蔽していた可能性が非常に高いです。
ナフサも、4月は中東以外からの輸入が通常の45万klから2倍の90万klになったと発表していたにもかかわらず、
蓋を開けてみたら70万klしか入ってきていませんでした。
実態は2割以上も少なかったのです。
どうも政府は2割以上を盛る傾向があるようです。
国民の生活と命に関わる極めて重要な数字を「盛る」といえばまだ聞こえはいいですが、「隠蔽」「粉飾」しているに等しいわけです。
本来、マスコミは政府の代替調達の都合のいい数字を報道するだけでなく、結果がどうだったかもしっかり報道すべきですが、
そんな報道は全くされていません(私が知る限り)。
この調子でいくと、7月の代替調達100%も、まず間違いなく大幅に縮小されるでしょう。
しかも、その代替調達の大半がアメリカから輸入される見込みだったので、アメリカの現在の備蓄の危機的状況を踏まえれば(何せそれを理由に戦争を止めたわけですから)、
代替調達がまともに入ってこないか、とんでもない金額で原油を買わされるか、いずれかになる可能性が高いです。
実際、すでにアメリカから入ってくる原油の値段は通常の2倍以上もの金額になっているようです。
そもそも物理的に7月などは政府の見込み通り入ってこないと思いますが、入ってきたとしても、価格が暴騰した金額になるはずです。
しかも、根本的な問題として、アメリカ産の原油は軽質油なので、中東産の中質・重質油に最適化された日本の製油所では、うまく石油を精製できない大問題も残っています
以上を踏まえると、仮に戦争が終わったとしても、これまで通り元に戻る可能性は低く、石油関連企業や国民生活に相当な打撃が来るのは、ほぼ確実と考えられます。
何より、今回の合意はあくまで最終的な終戦に向けた「交渉期間の60日間が始まる」という意味の暫定合意になります。
別の言い方をすると、60日間の交渉期間中に合意が決裂する可能性も十分にあるわけです。
実際、この原稿を執筆している間にもBBCが報じたのですが、イスラエルがまた再びレバノンを空爆したようです。おいおい(゚д゚;)
▼イスラエル、レバノンをまた空爆 トランプ氏が批判するなか – BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/articles/cly8glp515qo
レバノンへの攻撃について、イランは、「イスラエルのレバノン攻撃が続けば、覚書における義務違反とみなす」と主張しています。
▼【速報】レバノン攻撃「覚書違反と見なす」とイラン|47NEWS
https://www.47news.jp/14486408.html
イスラエルはイランの主張を完全に無視して、再びレバノンを攻撃した形になります。
アメリカとイランの戦闘終結合意の調印式が行われている真っ最中に、こんなことになっているわけです。
トランプは、自分が秋の中間選挙で再び当選したい都合と、アメリカの石油備蓄日数が残りわずかの危機的な状況になっているという自己都合で、無理やり戦争を終わらせたいのでしょう。
しかし、上記の通りイスラエルがそういうそぶりをまったく見せていないので、今回の戦闘終結の合意が破綻する可能性が出てきています。
少なくとも、イラン側が最新のレバノン攻撃を「戦闘終結の覚書の義務違反」とみなしたことは間違いありません。
あまりにも危うい綱渡りの上での交渉期間突入ということになります。
まったく油断できない状況が続いていますので、引き続き情勢を注視していきたいと思います。