ナフサ不足は「3倍輸入」でもダメな理由(石油危機)

こんにちは、中西です。

 

石油化学工業協会がナフサ不足について、中東以外からの輸入を3倍にすることで供給が維持できると発表しました。

 
 

▼中東産ナフサは5月にほぼゼロへ、代替調達3倍で供給維持-石化協(Bloomberg)
https://news.yahoo.co.jp/articles/db239b5773c6397b674c405a5ba6f88a331bb74c

 
 

この組織とは別に石油連盟というところがあります。

 

この石油連盟は、かなり早い段階で危機的状況を訴えていたにも関わらず、政府から圧力が入ったせいで、何事も問題がないかのような発表内容に変更しました。

 

余談ですが、石油連盟は自民党に年間5000万円も献金している団体です。

 

これは自民党に献金している団体の中でも特に多く、上位6位に入ります。

 

つまり政府とズブズブになっているので、政府からの圧力で見解を変える可能性は十分あります。

 
 

▼「自民党へ500万円以上の献金をした諸団体」TOP21 断然トップは日本医師連盟の2億円
2026/03/16 07:00 会社四季報オンライン編集部
https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/937748

 
 

石油化学工業協会も上位に入っているのではないかと思って調べてみたら、ビンゴでした。

 

献金額は1500万円で、10位にランクインしておりました。

 

この時点で、石油連盟と同じように政府に都合のいい情報に変換されていないか疑う必要があるわけです。

 

改めて最初のブルームバーグの記事を読みますと、「ナフサを中東以外から通常の3倍の135万kl輸入することで供給が維持できるようになった」としています。

 

ところが、6月以降も同じようになるのかどうかは記載されておらず、にも関わらず6月以降も含めて安心であるかのような内容になっているのです。

 

元々このメルマガでは、3月下旬から4月上旬の段階で、資源エネルギー庁アドバイザーの境野春彦氏のグラフをもとに、

 

ナフサの中東以外からの輸入が平時の45万klの2倍である90万klになっても全く無意味で、境野氏のおっしゃる通り「6月に詰む」のは間違いないとお伝えしてきました。

 

さらに3倍ならどうかも一応計算してみましたが、3倍の135万klにしたところで、結局、平時の需要である290万klには到底届かないのは明らかだったのです。

 

(在庫はあるが、ナフサは在庫をたくさん持てない性質のため需要を満たせず在庫を使うと、すぐに枯渇する)

 

それをドラゴンボールの界王拳に例えて、2倍でもダメ、3倍でもダメで、4倍ならギリギリ需要を満たすことができるとお伝えしてきました。

 

ところが、ナフサ不足で世界的にナフサの争奪戦のような状況になっているのに、日本だけ4倍以上の中東以外からの輸入を何ヶ月もずっと続けることはできるはずがないともお伝えしてきました。

 

ところが石油化学工業協会は、3倍の135万klで供給維持ができると発表しています。

 

そこで、よくよく読んでみると表現が怪しい部分もあったのでAIにもかけて調べてみたら、

 

結局のところ供給が維持できるのは自分たちの石油化学の分野だけで、日本全体では65万kl(消えた中東からの155万kl−90万kl(通常の中東以外45万klから135万klに増えた差分)=65万kl)が不足してしまうのです。

 

ナフサ全体の毎月の需要が290万klなのに、そのうち65万klが足りていないわけですので、石油化学以外のガソリンなどの分野で、とんでもない不足が発生することを意味します。

 

通常の全体需要の2割以上も満たせなくなるわけで、それが石油化学以外の分野に偏っているのであれば、より大きな形で弊害が出る可能性が高いです。

 
 

いずれにせよ、ブルームバーグの記事にあった石油化学工業協会の「中東以外からの輸入が3倍で供給維持できる」という内容は、国民全体にとっては、それだけでは安心材料には全くならないということです。

 

ただ、あの記事を読んで、その内容に疑いを持ち、自分で調べて安心できないことに気づける人というのは、ほとんどいないような気がします。

 

普通に読めば、「これで安心やんヽ(´▽`)/ 」と思うのが自然ですから。

 

しかも今回は、あくまでナフサ不足についての話だけで、石油危機全体では安心材料でも何でもありません。

 

石油自体の枯渇については何度もお伝えしてきた通り、政府が備蓄日数で嘘をついているので、仮にナフサが問題なくなっても、石油危機の方で大変な危機的事態に陥っているのは変わりません。

 
 

今回の石油危機では、とにかく政府絡みの情報は恐ろしいほど嘘だらけです。

 

そのため、一見安心できそうな情報や楽観論の記事に遭遇した時ほど、疑わないと騙されることになります。