こんにちは、中西です。
国内の石油の備蓄日数は、政府の発表よりもはるかに少ないという話をずっとしてきました。
これは国内だけでなく、世界的なスケールで見ても、石油の在庫が極めて危険な状況になってきています。
IEA(国際エネルギー機関)とIMF(国際通貨基金)、さらに世界銀行と世界貿易機関(WTO)といった国際的な組織が、なんと一斉に
「世界の石油の在庫が急減して夏前に危険水域に入る」
ことを表明しました。
これらの組織は3月以降、何度か発表していて、本メルマガでも紹介してきましたが、
具体的な時期まで出たのは初めてだと思います。
▼石油在庫「夏前に急減も」 IMFなど4国際機関が共同声明(共同通信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3bbeef8fcd426a962c1dff47d754e91c4b7237ac
『国際通貨基金(IMF)、国際エネルギー機関(IEA)などの首脳は29日、事実上の封鎖が続くホルムズ海峡の通航が正常化しなければ
「石油需要がピークを迎える北半球の夏を前に石油在庫が急減し、燃料の安定供給、市場環境などへのリスクが高まる」
とする共同声明を発表した。(中略)
会合には、ほかに世界銀行、世界貿易機関(WTO)が参加した。』
この発表に対して、記事を引用しながら、ひろゆきさんがこんな投稿をしていました。
『世界中の石油在庫がなくなると言われているのに、産油国ではない日本の首相が
「来年4月以降まで石油を安定供給できる」
という根拠を数字で知りたい。』
これはもっともな疑問ではありますが、私自身はこの点についてすでに調べ上げて、はっきりと分かっております。
経済産業省が、来年4月以降まで持つとする根拠のデータを出してきているのですが、それを見ると、
6月の見込みとしてアメリカ産の原油がそれなりに入ってくるため、通常の消費量の70%ほどを6月は調達できる見込みが立っているのです。
ただし、このデータも相当突っ込みどころがあるのですが、とりあえずそれは置いて、政府の主張を説明します。
「その6月の(通常時の) 70%の調達見込みが、7月以降もずっと来年4月頃まで続く」
という前提で、政府はそう主張しているだけでした。
これがどれほど恐ろしく楽観的で、都合の良い解釈であり、全くあてにならないかということです。
アメリカ産の原油は代替調達先としてあてにならない、ということをお話ししてきましたが、その理由は1つだけではなく、複数あります。
そのうち1つだけでも全く話にならないというレベルなのですが、今回の話で言うと、一番危険だと言えるのが、
「アメリカが7月以降も6月と同レベルで、ずっと毎月日本に原油を輸出してくれるという前提」
です。この前提があまりにも危険すぎます。
そもそも確定しているわけではなく、勝手に6月の見込みを来年4月まで継続できるという何の根拠もない前提で、政府は4月まで見込みが立ったから大丈夫、と発表しているのです。
こんなとんでもなく都合のいい解釈による算出、民間企業では許されないと思います。ほとんど詐欺に近いと言っていいでしょうね。
上記の4大国際組織の発表の通り、世界的な石油の在庫が急激に減っていくのが明らかな状況なので、これから世界中で原油の争奪戦になるわけです。
そしてアメリカも例外ではなく、石油の備蓄が凄まじい勢いで減っていることがデータで判明しています。
▼米国の戦略石油備蓄が急減、危険水域に | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
https://www.newsweekjapan.jp/articles/-/323600?display=b
実際、アメリカ国内では、著名なインフルエンサーをはじめ、「ガソリンがこれだけ高騰していてアメリカ人が困っているのに、日本に輸出していいのか!」という声も高まっているようです。
確かにアメリカからすれば、日本に売ることで利益は得られるわけですが、今後アメリカは自国の石油がますます枯渇していけば、
自分たちの国をまず救うために、日本への輸出を半分とか3分の1にする、あるいはとんでもない金額に値上げするといった方向に展開する可能性が非常に高いでしょう。
普通に考えて、そうならざるを得ないです。
しかも、アメリカ国民だけでなく、アメリカ産の原油は他の国々も当然欲しがるわけです。
その中で、円安で弱体化している日本は、原油を買い負ける可能性が相当高くなります。
あるいは、アメリカが日本への輸出は半分にして、仮に日本がどれだけお金を積もうとも、それ以上は売らない、という方針を取る可能性も十分あるでしょう。
根本的に足りなくなっているわけですから、これまで通りに同じだけ売ってもらえる前提で来年4月まで考えている日本政府は、個人的には狂っていると思います。
政府が狂っている証拠は、高市総理の膨大な数の虚言以外にも多数あります。
例えば最近ですと、自民党の元環境大臣の浅尾議員が、「ナフサが買えないなら韓国から買えばいい」などと主張して、大炎上しておりました。
ちなみに韓国は、3月から自分の国を守るためにナフサを禁輸しているのです。
与党の政治家なのにそんなことも理解しておらず、韓国から買えばいいなどと安易なことを言っているわけです。
裏金まみれ萩生田幹事長代行も「国内でナフサを増産する事は可能」などと意味不明なことを言っていて、境野さんも切れてました。
もう、めちゃくちゃとしか言いようがありません。
これが、戦後最大の危機に陥っている国の与党の政治家のレベルです。
こんな馬鹿だらけの議員ばかりで構成されているのが、日本政府なのですよ。しかもその事実を大半の国民が認識していない。
この事実の方が石油危機より、個人的には100倍危機だと思います。
この30年間正しい政策が行われ、今回の石油危機でも韓国のように正しい政策が行われていれば、こんな事態には陥っていなかったのですから。
5月28日に4月の石油統計が発表されたので、私は経済産業省の公式ページから、3月から現在までの非常に細かい数字のデータをPDFでダウンロードしました。
そのPDFと、各種信用できる専門家の見解やデータをすべてAIに読み込ませて徹底的に分析させました。
もちろん、AIの分析結果を鵜呑みにすることなどなく、一つ一つの数字が全部正しいかチェックしていき、AIが見落としている観点も多数あるので、それはこちらから補足するなどして壁打ちをしまくりながら分析しました。
その分析結果を見ても、このままアメリカが7月以降も6月同様に日本に輸出をしてくれる可能性はかなり低いです。
仮にアメリカからの輸出が半分に制限された場合、あっという間に日本の石油の備蓄はなくなり、8月〜9月頃には枯渇するという結果も出ました。
(政府の計算では、民間備蓄も備蓄に含めているのですが、国際的なリスク管理の常識で、民間備蓄は備蓄に含めない方が正しいようなので、民間備蓄を換算しないとそうなるのです)
しかも、それはあくまで石油の備蓄の話なので、ナフサに関してはもっと早く枯渇します。
いずれにしろ、政府の発表を見ていると、いかにもだいぶ状況が良くなっているように見えてしまいます。
また、それに騙されている専門家も多数いるのですが、1つ1つの数字を徹底的に分析していくと、実際はとんでもなくやばい状況が近づいていることが分かるのです。
政府は引き続き、今後もアメリカ産の原油が届くことをアピールしまくってくるでしょう。
しかし、それは油の質から見ても、輸出できる分量や石油の世界的な在庫状況から見ても、タンカーの台数から考えても、全く希望にはなりえません。
「アメリカ産の原油の輸入によって希望が出てきている」
という雰囲気を出している政府発表や報道には、くれぐれもご注意ください。