こんにちは、中西です。
日本の原油やナフサの備蓄の残り日数は、政府の発表とは違い、残りわずかになってきているという話をしてきました。
政府は「来年4月まで問題ない」と発表していますが、その数字を分析すると、実態は非常に詐欺的な数字の操作でした。
また、来年以降まで持つと政府が根拠にしている最大のものは、「アメリカ産の原油が届くから」というものでしたが、
その実態は6月の契約が確定しているだけで、その契約が7月以降も来年4月までずっと続いた場合の仮説でしかありません。
それを完全に見込みが立ったかのように発表しているわけです。
民間でこんないい加減なことをしていたら、完全に詐欺になります。
しかし政府は、こういう深刻な事態を隠蔽する数字の工作を、今回のホルムズ海峡封鎖以降ずっとやり続けています。
問題は、アメリカ産の原油が7月以降まだ単なる見込みでしかないことに加え、そもそもアメリカ産の原油は非常に軽質油だという点です。
日本の石油精製設備は、中東の原油の中質油・重質油といった重い油に最適化されたものになっています。
そのため、アメリカ産の軽質油で代替しようとすると、重い油と混ぜながら石油を精製する必要があるのです。
それを続けていくと、石油を精製する設備が壊れてしまいかねません。
また壊れなかったとしても、精製効率が非常に落ちるので、重油などの値段も爆上がりします。
それはつまり末端の商品の価格が信じられないほど上がることを意味するのです。
さらに、これらの問題に加え、アメリカの戦略石油備蓄、要するに石油の備蓄が3月以降、急激なスピードで激減している事実があります。
Xで30万人以上のフォロワーがいる、投資調査も行う金融メディア企業のHedgeyeというアカウントがあります。
日本の政治家もフォローしているのですが、このHedgeyeというアカウントが本日発表していたアメリカの戦略石油備蓄のグラフを見ると、現時点で3億5700万バレルにまで減少していました。
これがどれぐらいヤバいかというと、アメリカの1日の消費量はざっくり2000万バレルほどなので、備蓄日数が残り17日ほどになっているということです。
そのグラフの画像をメルマガには貼り付けできないので、グラフをAIで数字と活字に変換したものを以下に添付します。
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【米国・戦略石油備蓄(SPR)の驚異的な激減データ】
グラフの動きがひと目でわかる、2020年のピークから現在(2026年5月末)までの公式データの推移です。
(左:日付 / 右:備蓄の残り量)
2020年01月 | 約 6億3,500万バレル
2020年07月 | 約 6億5,600万バレル
(※コロナ禍のピーク)
2021年01月 | 約 6億3,800万バレル
2021年07月 | 約 6億2,100万バレル
2022年01月 | 約 5億8,800万バレル
2022年06月 | 約 5億0,000万バレル
(※ウクライナ戦争による大量放出開始)
2022年12月 | 約 3億7,200万バレル
2023年07月 | 約 3億4,700万バレル
(※前回の底)
2024年01月 | 約 3億5,800万バレル
(※ここから少しずつ買い戻し)
2024年07月 | 約 3億7,500万バレル
2025年01月 | 約 3億7,100万バレル
2025年12月 | 約 4億1,100万バレル
2026年02月 | 約 4億1,544万バレル
(※直近の買い戻しピーク)
【ここから2026年春、潮目が完全激変】
※中東情勢およびホルムズ海峡緊迫化を受け、異例の「毎週約800万バレル超」の大放出へ
2026年03月27日 | 約 4億1,506万バレル
(※トランプ政権が緊急放出発表)
2026年04月03日 | 約 4億1,332万バレル
2026年04月17日 | 約 4億0,504万バレル
2026年05月01日 | 約 3億9,270万バレル
2026年05月15日 | 約 3億7,418万バレル
2026年05月29日 | 約 3億5,710万バレル
(※最新データ・再び危機的水準へ)
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ポイントは、2021年初め頃のピーク時から、ウクライナ戦争によって原油の値段が爆上がりするのを防ぐために、備蓄を大量放出し始めたことです。
2023年7月に一度、約3億4700万バレルまで底を打ちました。
その後、3年かけて少しずつ買い戻していたものが、今年の3月からのわずか2ヶ月で、また原油の高騰を防ぐために大量放出されました。
その結果、5月末の時点で再び残りが約3億5700万バレル、残り日数でいうと17日分まで減ってしまっているという状況です。
もちろんアメリカの場合は自国で原油を産出できるので、日本が残り17日の備蓄になるほどのリスクではありません。
それでも現在の備蓄日数17日というのは過去最低まで落ち込んでいて、この3ヶ月の急激な減り具合を見ても、危機的状況であることがはっきりとわかります。
つまりアメリカは産油国といっても、アメリカ国民の生活を安定させるほど十分な原油が産出できているわけではないということです。
ウクライナ戦争とイラン戦争の2つの戦争による価格高騰を抑えるために、備蓄をここまで減らす必要があったわけですし、
さらに現在でも毎週800万から1000万バレルも減り続けています。
この状況のアメリカが、日本に7月以降も十分な原油やナフサを輸出してくれると考えるのは、あまりにも楽観的すぎます。
非現実的と言っても過言ではないレベルだと思います。
まして来年まで持つというのは、その見込みですので、何の確証もないわけです。
実際にアメリカ国内では、有識者やインフルエンサーらから、
「これほどアメリカ国内のガソリン代なども高騰している中で、日本にこんなに輸出してどうするんだ!」
という声も多数上がっているようです。普通に考えて当たり前だと思います。
また、そもそも世界中で原油もナフサも危機的状況になっていて争奪戦になっていることは、先日ご紹介した
IEA(国際エネルギー機関)、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、WTO(世界貿易機関)
といった国際的な4つの組織が、
「夏前までに石油が世界的に危機的状況に陥る」
と共同で緊急声明を出した点からも明らかです。
したがって、来年4月以降まで持つなどという日本政府の大本営発表を鵜呑みにして安心していたら、
気づいた時には、なぜかどこのお店に行っても物が買えなくなっているかもしれません。
食べ物も手に入らなくなり、政府の発表と目の前の現実が全く違う状況になって、
気づいた時には全国的に飢饉に近いような状況になっても全くおかしくないと私は考えています。
政府が事態の深刻さを隠蔽しようとしていることは、数々の内部証言でも明らかになっています。
ついに先日、日テレのニュースまでそれを報じましたし、私のように数字を見ていても明らかです。
そのため、政府のまるで安心感を与えるような発表を信じている人たちから、
今回の間もなく起こる可能性の高い大惨事の被害者になるリスクが高まっています。
理由は、政府発表を鵜呑みにしている人たちの大半は
「備蓄をまともにしていないから」
という1点につきます。