戦争終結ではなく暫定合意で安心は早計すぎる理由

こんにちは、中西です。

 

アメリカとイランの戦争が停戦合意に達しましたが、これはまだ暫定の合意でしかなく、

 

ここから60日間の交渉を経た上で、最終的な終戦の合意(平和条約)を締結するという流れになります。

 

あくまで暫定的なものですので、60日間の交渉中に停戦合意が決裂して、再び戦争が再開される可能性は普通にあります。

 

しかし、19日にスイスで調印式がありますので、マスコミはまるで完全に終戦になったかのようなニュアンスで報道していますが、

 

全くそんな状況にはなっていないということです。

 
 

特に前回お話ししたように、「イランが核の放棄をしない」ことが内部の関係者の話で非常に濃厚だということが分かり、

 

CIA長官がトランプ大統領や政府の上層部に「深刻な疑念がある」ということを伝えたと、共同通信などが報じています。

 

そしてトランプ大統領は、「イランが核を放棄しなければ再び攻撃する」と明言していますので、

 

普通に考えれば、この状況だと停戦合意は交渉の途中で破綻する可能性が濃厚という話になります。

 
 

さらに本日のロイターの報道によると、アメリカとイランの停戦合意に対して、海運業界は歓迎しているものの、慎重な姿勢を崩していないようです。

 
 

▼米イラン合意に海運業界は慎重姿勢崩さず、ホルムズ再開なお不透明(ロイター)
https://news.yahoo.co.jp/articles/4c42c2dfa5c9c95850253838ac2a5c5569779020

 
 

『米・イラン両国が合意に達したものの、海運各社はホルムズ海峡の正常化には数週間かかるとの見通しを示している。

 

トランプ米大統領は、ホルムズ海峡は「完全に安全で、安心できる状態だ」とし、この海域からの石油輸送が再開されたと主張した。

 

しかし船舶追跡データによると、15日に大きな動きは確認されなかった。海峡通過が確認されたのはLNG運搬船1隻のみだった。

 

海運各社は合意を歓迎しているものの、慎重な姿勢を崩していない。

 

各社は、安全確保と海峡管理の枠組みが整うまでは運航を再開しない考え。また機雷除去などの措置について、より詳細な説明を求めている。

 

関係者の中には、これまでも海峡の再開が宣言されながら状況がほとんど変わらなかった例があると指摘する声もある。(後略)』

 
 

こちらの記事によりますと、各社は安全の確保と海峡の管理の枠組みが整うまでは、運行を再開しない考えのようです。

 

これは機雷除去や保険の問題などもありますので、当然と言えます。

 

また、海運業の関係者の中には、これまでも海峡の再開が宣言されながら、状況がほとんど変わらなかった例があると指摘する声もあるとのこと。

 

こちらも普通に考えれば、これまで何度もホルムズ海峡が開放されると宣言された後に、すぐに戦争が再開していますので、

 

再び同じことが起こる可能性を考えるのは、事業者として当たり前だと思います。

 
 

ということで、国内のマスコミ報道では、ほとんどが戦争が終わった雰囲気で報道している感じですし、

 

日経平均株価もこれを受けて過去最高の7万円を突破していますが、

 

当事者である海運業者の人たちは、そのおめでたムードとは裏腹に、今現在も強く警戒して海峡をめぐる情勢を注視している状況となっています。

 
 

私が信用している複数の国内外の専門家の方々の見解を見ても、この状況で「戦争が無事終わって、平和な状況に戻る!」という見解の人は1人もいません。

 

今回の危機を認識するのが遅かった人ほど、現在の状況が平和に戻ったと即決めつけている状況になっているのは、

 

何とも皮肉というか、シュールな状況だなと感じます。

 

受験生が最後の模試でA判定が出たからと、残り1ヶ月をもう大丈夫だと遊んで過ごしているようなヤバさと、少し似ているかもしれません。

 
 

いずれにせよ、60日間の交渉があるのは確定しています。こじれたら最大90日間です。

 

そして、その交渉中に状況が悪化する可能性が常に残されているのは間違いありません。

 

上記の通り、イランが核放棄しない問題もあれば、イスラエルは戦争をやめずレバノンを攻撃する問題も残っているので、

 

これまでの経緯を考えれば、油断できる状況では全くありません。

 

トランプはとにかく自分に都合の良いように発表して、状況を操作しようとする癖があるのが明白なので、

 

無事平和になったと思わせたいトランプの言動を真に受けるのは要注意だと思います。

 

まして完全に状況が戻ったと考えるのはあまりにも早計すぎるので、まだ当面は状況を注視し続ける必要がありますね。

 

まずは19日のスイスでの調印式で、今回の覚書の全貌がはっきりすると思いますので、それを待ちたいと思います。